活 動 報 告


全国重症心身障害児(者)を守る会「創立60周年記念大会」について報告します…

  ◇日時:20249月28日()~29日()

  ◇ 会場:東京都港区台場 「グランドニッコー東京台場」B1F

 

■天皇・皇后両陛下をお迎えし、安部井会長が会を代表して挨拶

本日ここに天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、全国重症心身障害児(者)を守る会創立60周年記念式典を開催いたしますことは、私どもにとりまして誠に光栄なことと存じます。両陛下に置かれましては、ご即位以来常に国民の安全と幸せのために心を砕かれ、そのお姿に深い感銘を受けております。さらに重症心身障害児者をはじめ、弱い立場の人々にも心を寄せていただいておりますことに厚く御礼を申し上げます。本日の式典に子供家庭庁・厚生労働省・文部科学省並びに東京都を始め、多くのご来賓の皆様にご出席いただきましたことに心より感謝申し上げます。

まだ重症心身障害児者への福祉が及ばなかった昭和30年代当時、「社会の役に立たない者には国のお金は使えません」という風潮の中、「たとえどんなに重い障害があっても真剣に生きているこの命を守ってください」と、子供の命を守るため私たちはただひたすらに国や社会に訴え運動を続けてまいりました。そして施設に初めての国家予算がついた時、たとえようもないほどの深い感動に震え、涙しながら喜びを分かち合ったと聞いております。

昭和39年に親たちが中心となって会を創立し、その後北浦雅子前会長をはじめ多くの先人の親たちの筆舌に尽くしがたい活動の積み重ねにより、今日まで全国重症心身障害児(者)を守る会は歴史を築いてまいりました。60年を経ても私たち親が子を思う心情に何一つ変わりはありません。子供たちの今があるのは社会の皆様のご理解とご支援、行政の方々を始め医療・福祉・教育に携わる専門の先生方、関係の皆様の多大なるご尽力によるものと深く感謝申し上げます。

昨年2月、北浦雅子前会長が逝去し深い悲しみにありましたが、子供達の命と生活・幸せを守り抜くために、たゆまぬ努力を続けていくことを会員一同誓い合い今日のこの日を迎えました。

私たちは重症心身障害児者から輝く命の尊さを教えられ導かれてまいりました。これからも社会の皆様にご理解ご支援いただけるよう60周年を節目としてさらなる努力を続けてまいる所存でございます。今後とも暖かいご支援を賜りますよう心からお願い申し上げます。

 

 ■天皇陛下からのお言葉(要旨) 

全国重症心身障害児(者)を守る会は創立60周年を迎え、ここに記念式典が催されることを誠に喜ばしく思います。この会は心身に重い障害がある子供の、人間としての尊厳と命を守りたいという親たちの切実な願いを持って昭和39年に発足しました。その当時福祉に対する人々の関心はまだ低く、知的にも身体的にも重い障害のある子どもを持つ親たちの苦労は、今日からは計り知れないものがあったと思います。苦悩を共にする親たちが厳しい状況の中でこの会を結成し、互いに手を携えて子供達の命を守り、子供たちを大切に育んできたことに心から敬意を表します。

また困難に立ち向かう親たちは蓋し重い障害がある人たちを支援してきた関係者の、献身的な活動も大きなものがあると思います。会の発足当時と比較して、重い障害のある多くの人が医療の進歩により命を助けられ、医療と福祉に支えられながら生きる力を絶やすことなく、明るい笑顔を見せて生活していると聞いています。同時に近年のコロナ過においては、施設に入所中の人たちが家族との面会の機会を長期間閉ざされるなど、困難な状況にあったと聞きます。

このような経験を乗り越え、重い障害がある人たちが、親や周囲の人たちの愛に支えられて、この大会に参加していることを嬉しく思います。そして重い障害がある人たちが、施設においても地域においてもかけがえのない人生を豊かに生きていくことが出来る社会が続いていくことを望んでいます。

 「最も弱いものを一人ももれなく守る」という理念に基づいて始められたこの会が、重い障害のある人たちに対する社会の理解をさらに深め、それぞれの生きる道について様々な可能性を引き出していくことを期待いたします。今後とも多くの人々の理解と協力により重症心身障害児者の福祉が一層充実していくことを願い、式典に寄せる言葉といたします。

 

 ■大会資料の創立60周年記念大会大会趣旨を紹介します… 

天皇陛下のご臨席を仰ぎ、ここに開催する「全国重症心身障害児(者)を守る会創立60周年記念大会」は、私たちにとって大変意義深い大会となります。

「とうとうこのような会が生れるにいたったことをわきから眺めながら、心から喜ぶ一人です。この会づ<りのために多くの両親たちが日夜努力をつくされたことにも大きな敬意を表します。へトへトになるくらいの努力を、よくも何カ月とつづけられたものと感心します。(中略) 大会という一つの現実的な当面の問題に向って結集された気持が、くずれずにどのようにもちつづけられるか、これは日本中のた<さんの目が見つめていることです。この目を意識して笑われないように正しい姿勢を堅持して前進するように、心から希望致します。」 「全国重症心身障害児(者)を守る会の発足に当って」島田療育園園長小林提樹

これは本会の設立(1964年6月13日)を後押ししてくださった小林提樹先生の本会発会に寄せる言葉です。あれから60年。果たして、私たちは発会から今日まで「この目」を意識し、「正しい姿勢を堅持して前進する」 ことができているでしょうか。

私たちは、本会の礎を築き、すべての人のいのちの尊さを訴え、社会の理解を深める運動を続けてきた先人たちの努力を忘れず、会の三原則「決して争つてはいけない。争いの中に弱いものの生きる場はない」「親個人がいかなる主義主張があっても重症児運動に参加する者は党派を超えること」「最も弱いものをひとりももれなく守る」のもと、これからも「この目を意識して」「正しい姿勢を堅持し」、前進していきたいと思います。

本大会が、今を生き、将来を生きる重症心身障害児者のいのちが、かけがえのないいのちとして尊重され、その人生が豊かであることを願い、 心に残る意義深い大会となるよう、 皆様のこ゛支援こ'協カをよろし<お願いいたします。

 


 ■山形県支部からは薄衣会長ほか8名が参加しました。

 

会場となったホテルはお台場にあります。山形からの参加者は新橋駅から初めての「ゆりかもめ」に乗って会場へ。目の前にはフジテレビ、遠くに羽田空港が望めました。今回は天皇・皇后両陛下がご臨席されるため、入場にも身分証明書が必要で荷物の持ち込みも不可。午後2時20分からの式典に1時15分には入場が締め切られるという厳重な体制がとられていました。

会場には報道各社のテレビカメラが並び、参加者はカメラも録音も禁止たなっていて、式典終了後に撮影ができた参加者の写真を紹介します。

式典では安部井会長の挨拶、天皇陛下のお言葉に続き、小池東京都知事他、厚労省・文科省のご来賓から挨拶をいただきました。その後、在宅と入所の重症児の親からの体験発表があり、最後に小山京子さん(前会長代行)により「ちかいの言葉」が読み上げられ式典が終了しました。

同じ会場での「感謝の集い」までフリータイムとなり、隣のフジテレビを探索。番組でおなじみのキャラクターやグッズのコーナーを見ながら時間をつぶし、午後5時からの開始を待ちました。

 

大会二日目は特別講演として、講師の「村木厚子」さんよりご自身の体験を踏まえて「支えること 支えられること」と題して本当に貴重なお話をいただきました。

 

最後に来年の全国大会はコロナ過で何度も中止になっていた北海道の札幌市で開催されることが発表され、太田由美子北海道ブロック長からの挨拶と来年の再会を約し60周年の記念大会が終了しました。